ビル・エヴァンス『Montreux Ⅱ』


70年にモントルー・ジャズ・フェスティバルに出演した際の音源。モントルーは68年の「お城」の音源に続いてのライブ盤ですが、「お城」の方がジャック・ディジョネットの強烈なドラムに打ちのめされる作品でしたので、この2番目はどうかな、と思いながら聴きました。

 

結果、非常に良かった。ドラマーのマーティ・モレルが急成長していて非常に嬉しい、といった発言をビル・エヴァンス自身が70年のインタビューでしていますが、とてもアグレッシブでいい演奏をしていると思います。これはマーティ・モレルの時期の音源も聴いていかないといけないなあ。

 

演奏がとにかく速いのも特徴的です。「How My Heart Sings」や「Israel」といった楽曲は非常にペースを速くして演奏されていますので、過去の音源と比較しても印象が異なって聴こえます。晩年のビル・エヴァンスはどんどん演奏のペースが速くなっていったそうですが、ここでも既にスピード感が違います。

 

バカラックの「Alfie」なんて曲も演奏してくれていて、多彩な一面を見ることができますが、何より演奏のスピード感とマーティ・モレルの躍動感にやられてしまいました。これもいい作品だった。ビル・エヴァンスは外さないなあ。