『プリザヴェイション第2幕』

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翌74年にリリースされたロックオペラ第2弾。元々2枚組で、収録時間70分以上という大作だ。この辺の仕事はザッパでいえば『ジョーのガレージ』みたいなもんで、アナウンスが入るところが英語の分からない自分にはきつい。

曲はどうか。第1幕にあったボードヴィルテイストは薄れてロック色が若干復活。物悲しげなテイストは相変わらずだが、『When A Solution Comes』なんていい曲だ。

しかし女性コーラスが3人もメンバーでいるなんて・・。キンクスなのか、これ?と言われてしまうのも無理はない。「バンドというよりまるで劇団員のようだった」と当時のメンバーが回顧するのも笑えない事実だ。女性に囲まれて微笑む内ジャケのレイ・デイヴィスは最早離婚後で自暴自棄気味だったのではないか。でも『Money Talk』なんかもご機嫌だし、コーラスが音に奥行きを持たせているように思う。

『He's Evil』なんてかなりポップだ。80年代初期のポップスみたいな感触も漂う。年末に少しだけバグルスを聴き返したが、あんな感じのキーボードが導入部に差し込まれている。『Mirror of Love』も煌めくような弦と鍵盤の音に彩られて素敵なポップスに仕上がっている。

Side3に入って『Nobody Gives』が渋い。導入部こそ牧歌的だが、曲そのものはタイトなドラムに合わせて進む。中盤で入る鍵盤の音はとても綺麗。1曲で展開が目まぐるしく変わる曲はキンクスとしては多少珍しい、くもないか。『20th Century Man』なんかもそうだもんな。カッコいいんだこの曲。

 

続く『Oh Where Oh Where Is Love?』もいいじゃないの。Side3は意外と儲けもんかもしれない、って持ってたんだよなあ、このアルバム。いかに聴いてなかったかが分かろうというもの。お恥ずかしい限りで。と思ったら次の『Flash's Dream』はファンカデリック初期みたいな混沌ぶり。悪夢との戦いを音にしたみたいだが、演劇なんですね、これは。

Side4の『Nothing Lasts Forever』は静かないい曲。女性とのデュエット曲は意外とこのアルバムではいける線だ。『Artificial Man』もいいね。それにしてもキンクスには『~Man』というタイトルの曲が多いなあ。

 

次の『Scrapheap City』は女性ボーカルに全編歌わせてしまっているが、これは結構いい曲。逆にキンクスらしく仕上がっているのが面白い。ラストの『Salvation Road』もいいじゃん。これ言われる程ひどいアルバムじゃないよ。途中のアナウンスで滅入ってしまうが、それは他のアーティストでもあることなので何もキンクスに限ったことではない。キンクスの場合曲がいいので、ちゃんと聴けば結構耐えられるってもんだ。

ボーナストラックの『Mirror of Love』シングルバージョンはホーンが入っててこっちのがキンクスらしい。こりゃいいですな。

ということで『プリザヴェイション』結構いいですね。これまできちんと聴いてこなかったことを反省しつつ、長いので通勤時にでも聴くことにしよう。