フランク・ザッパ「A Token of His Extreme」

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遂に出た!という感じのザッパ74年制作TV番組のDVD。『ダブ・ルーム・スペシャル』で断片が映像化されていた元映像が何故かこのタイミングで正式リリースされました。

メンバーは『ワン・サイズ・フィッツ・オール』の頃の黄金期のもの。ジョージ・デューク、ルース・アンダーウッド、チェスター・トンプソン、トム・ファウラー、ナポレオン・マーフィー・ブロック、という比較的シンプルな構成。でも演奏は凄いです。

本当に生で演奏しているのか!というくらいの超絶テクニックで曲が進んでいきます。この時の演奏がアルバムに使われたものも多いとのことで、実際『ワン・サイズ・フィッツ・オール』で聴けるフレーズが多発しています。

とにかくリズムが初っ端から細かい、緻密。ルース・アンダーウッドのパーカッションとチェスター・トンプソンのドラムは生き物か機械のようにうねりと正確性を表出していて、それが映像で観れるという幸せは極上のものです。勿論ザッパのギターもいい!

ジョージ・デュークのキーボードも神業ものですが、『インカ・ローズ』でのソロ演奏にはザッパもにやけが止まらないクオリティでした。本当に弾いていたんだな、これは。という当たり前の事実にひれ伏してしまう。しかも途中で自動演奏させて自分はナポレオン・マーフィー・ブロックと一緒に踊ってしまうという場面もあって、実に痛快です。

『ダブ・ルーム・スペシャル』で編集されていた映像がほぼフルで観られるという点で必携ものですが、やはり演奏中に挿入されるクレイ・アニメーションは邪魔ですね。ザッパのギターやチェスター・トンプソンのドラムさばきが観たいのに、そこにあえてアニメーションを被せてしまう。その他にも「このパートはボーカルじゃないでしょう」というようなカメラワークもあったりして若干の不満も出ますが、そこはそれ、奇跡的な映像化を称えるしかないでしょう。

ボーナス映像での『ブラック・ナプキンズ』ソロ演奏(まるでギター・カラオケ)も鳥肌モノで、その辺りも含めて永久保存版です。実際にこの頃のライブを観ていたら失神していたでしょう。