2017-01-01から1年間の記事一覧

ジョージ・ハリスン『Gone Troppo』

ジョン・レノンの死後、悲しみを癒すために休暇をとり、その充電効果で明るくなって発表された作品とのこと。地味でかつふざけた感じなのかと思っていましたが、聴いてみると意外とまともで、こんなところにも弾け切れないジョージ・ハリスンの生真面目な側…

ジョージ・ハリスン『慈愛の輝き』

昨日、久しぶりにジョージの伝記映画『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』を観ましたが、やはりラストのリンゴ・スターのコメントには涙腺が緩んでしまいました。本当に魅力的な人だったんですね、ジョージ・ハリスンという人は。 本作はダークホ…

ジョージ・ハリスン『33 1/3』

ダークホース期のジョージ・ハリスンは思いっ切り地味なのかと思っていましたが、本作を聴いた限りではそんなことはなく、とてもコンパクトで力強いサウンドを聴かせてくれています。 時期的には離婚があったり「マイ・スウィート・ロード」の訴訟問題があっ…

スカート『20/20』

高田漣が細野晴臣、ティン・パン・アレイ系の継承者だとしたら、スカートはムーンライダーズ、カーネーション系の正統な継承者であるように思います。先週発売されたメジャーからは初となる新作はとても抜けの良い爽快な作品に仕上がっていて、とても頼もし…

高田漣『ナイトライダーズ・ブルース』

ベルウッドからの新作、ということで話題の高田漣の新作ですが、非常に良い。冒頭のスネアの音一発から既に名作の予感がしました。 ヴァン・ダイク・パークスの『ディスカヴァー・アメリカ』みたいなジャケットもいいですが、何といってもドラムの音がいいで…

小沢健二とSEKAI NO OWARI『フクロウの声が聞こえる』

小沢健二復活第2弾シングルは何とSEKAI NO OWARIとのコラボレーションでした。最初にそのニュースを聞いた時は驚きましたが、同時に戦略的だな、とも感じました。本能的に話題になりそうな流れを知っている。それをしたたかととればネガティブになりますが、…

鈴木慶一とムーンライダース『火の玉ボーイ40周年記念デラックス・エディション』

昨年末リリースされた『火の玉ボーイ』のデラックス・エディションは値段も張ることから手を伸ばすのを若干躊躇していましたが、運良く未開封品が中古で手に入ったので改めてじっくりと味わうことが出来ました。ムーンライダーズがまだムーンライダー「ス」…

ラリ・プナ『Two Windows』

高橋幸宏経由で知ったドイツのモー・ミュージック代表格、ラリ・プナの新作が届きました。既にエレクトロニカの時代は過ぎ去り、こうした電子音の静かな音楽は過去のものになりつつありますが、まったく関係ないかのように作品を出していくところに強さを感…

カーネーション『Suburban Baroque』

カーネーションの新作が短いインターバルで届きました。前作もまだ聴き込めていないのに、間隔が早い。これは好調な証拠でしょう。 冒頭1曲目の「Shooting Star」でいきなり引き込まれました。これは『a Beautiful Day』じゃないか。実際、ご本人達のコメン…

奥田民生『サボテンミュージアム』

奥田民生の新作はバンドサウンドが復活しているとの噂。これはもしやひとり単独演奏からの揺り戻して、かなり熱量の高い演奏が期待できるのでは、と思って期待して聴きました。 収録時間はトータル11曲で38分強と短め。ということは1曲あたりが短いというこ…

デイヴ・エドモンズ『Track On Wax 4』

ロックパイルの音を探るため、本作についても聴くことにしましたが、期待通りの音が鳴っているのを感じる反面、結果的に自分が好きなのはニック・ロウなのかな、という実感が沸き上がってくる結果となる一枚でした。 ブリンズリー・シュウォーツでの関わり以…

デイヴ・エドモンズ『Get It』

ロックパイルの音を探し求めて、デイヴ・エドモンズの初期作品に着手しました。こちらは77年リリースの3rdで、ブリンズリー・シュウォーツを解散したニック・ロウも合流したプレ・ロックパイル的な音となっています。 以前に2ndを聴いた時も感じましたが、デ…

opiate『Sometimes』

この作品に入っている「Snow Story」という楽曲は、YMOの3人が2004年の正月にFM出演した際に坂本龍一が選曲したもので、その時は3人ともこの曲を絶賛していました。その後、高橋幸宏がインターFMで番組をやっていた時にも。冬がテーマの選曲でこの曲をかけて…

ジェイムス・テイラー『ダディーズ・スマイル』

原題は『Dad Loves His Work』ということで、にこやかなジャケットに反してカーリー・サイモンとの離婚直前、原因は家庭を顧みないで仕事ばっかりしているから、という感じで伝えられている時期の作品です。それでもって「父さんは仕事が好き」みたいなタイ…

ロキシー・ミュージック『Siren』

なるほど。これはジャパンとか初期ムーンライダーズの原形があるな。 75年リリースのロキシー・ミュージック5作目。ロキシーは遡って聴こうとずっと思っていたのですが、機会を逸してしまいここまで来てしまいました。丁度今、ジャパンのバイオグラフィー本…

オリジナル・ラブ『オーバーブロウ・ツアー2012』

2012年のワールド・ハピネスにオリジナル・ラブが出ていました。前年に『白熱』を出して、奥田民生と同様にひとりでライブを行っていた田島貴男が、ここへきてバンドでライブを行ったことに、流れとして正しいな、とひとり納得をしていたんですが、その2012…

クレイジーケンバンド『MINT CONDITION』

CKBの作品はどれも大作で、しかもクオリティが一貫して良い、という普通ではあり得ない状態となっているので、基本どの作品を聴いても安心できるところがあるんですが、2010年にリリースされた本作もそれは変わりませんでした。逆に言ってしまうと、新作が出…

ロックパイル『Seconds of Pleasure』

先日聴いたニック・ロウの再発で3作目と4作目の落差の原因を考えていましたが、恐らくはロックパイルにヒントがあるだろう、と思い、唯一の作品を手にとりました。 予想は的中。要するにロックパイルがいいバンドなんですね。手にした中古は音圧が低めでちょ…

WORLD HAPPINESS 2017

今年から場所を変えて葛西臨海公園での開催となりました。10周年、ということで今年も行ってきました。 会場はコンパクトになった印象です。海沿いですので環境もいいし、駅を降りてすぐ公園なので、公道を通らなくて良いのがポイントです。行き帰りもスムー…

ニック・ロウ『ショウマンの悲劇』

ニック・ロウの83年リリースの4作目。今回の再発で初めて聴きました。 前作が傑作だったので期待して聴きましたが、ここまで変わってしまうとは・・。非常に普通の音楽になってしまっていると思います。切れ味の鋭い演奏やアレンジが光っていた『ニック・ザ…

ニック・ロウ『Nick The Knife』

いわゆる「捨て曲なし」というアルバムにはそうそう出会えるものではありませんが、このニック・ロウの3rdはほぼそれにあたる希有な実例かと思います。全編に渡って本当にカッコいい。自分は90年にCD化された際に初めて聴いたんですが、まさにめくるめく音の…

コーネリアス『Mellow Waves』

やっと聴けたコーネリアスの新作。とても良い作品でした。 既にシングル曲で味わっていた非常に有機的な感覚が全面展開されていて、非常に落ち着いた印象を残します。勿論未来的な要素も入っていて、こんな未来になるといいなあ、と静かな音に希望を託すこと…

マシュー・スウィート『Tomorrow Forever』

マシュー・スウィートの新作がひっそりと発売されました。国内盤も出なさそうなので輸入盤で購入しましたが、こうしたパワーポップ系が注目されないのはいささか寂しい限りです。 実際、マシュー・スウィートの方もコンスタントに新作を出してはいるんですが…

クラフトワーク『3D: The Catalogue』

クラフトワークが過去のアルバムを全曲演奏し、かつ3D映像で演出を行ったコンサートを開く、というニュースはクラフトワークの健在ぶりを示してくれたとても嬉しいしらせでした。来日もしましたので一度は観てみたかったですが、結局映像化を待つにとどめま…

キンクス『Something Else By The Kinks (Deluxe Edition) 』

キンクスのデラックス・エディションはその単価の高さで発売時はスルーしてきてしまいました。何故かオリジナル・アルバムはボーナストラックなしのシンプルなものを聴きたい、という妙なこだわりを買わない理由にしていたんですが、単純に決定版を見逃して…

中谷美紀『食物連鎖』

96年リリースの本作がデビュー作のようです。こちらは昨日聴いた3作目に比べて初々しくて弾けてますね。坂本龍一の音もまるで『スウィート・リヴェンジ』の頃のようで、ポップで聴きやすくて品がいい。とても良いアルバムですね、これも。 2曲目の「STRANGE …

中谷美紀『私生活』

坂本龍一プロデュース作品をリリースしていることは知っていましたが、ずっとスルーしてきていて、しばらく前から中古を探していたところでした。つい先日たまたま見つけたので聞いてみましたが、なかなか良い作品ですね。こちらは99年リリースで、3部作の最…

鈴木博文『どう?』

「どう?」と聞かれても困るなあ、と相変わらずの直接的なタイトルに困惑させられる鈴木博文の新作。ご本人も帯にコメントされている通り、前作が『後がない』で、さらっと次回作が出てきてしまった軽やかさ。やはりこうでなくてはいけません。前作がラスト…

トッド・ラングレン『White Knight』

ここ最近の御大の新作には落胆させられてばかりでしたが、今回は多くのゲストを迎えて久々に盛り上がっている作品です。何といってもドナルド・フェイゲンとの共作に目が行ってしまう訳ですが、ダリル・ホールやジョー・サトリアーニ、実の息子との共演なん…

坂本龍一『FIELD WORK + STEPPIN' INTO ASIA』

どちらも85年にリリースされているシングル曲ですが、アナログでしか持ってなかったのでたまにターンテーブルに乗せて聴くことはありましたが基本的にはその程度でした。そうしたら先日まとめて坂本龍一関連の中古が出ていた際に見つけたのが2in1のCDでした…