2013-01-01から1年間の記事一覧

高橋幸宏『THE DEAREST FOOL』

おっと、ここで復活してるじゃないか。 『世界中がI Love You』が聴きたくて手にした99年リリースの作品ですが、位置づけ的にはこの後ビートニクスの3rd、スケッチ・ショウの結成、YMOの復活と続いていく出発点となっているアルバムであり、テクノ回帰路線の…

デイヴ・エドモンズ『ひとりぼっちのスタジオ』

これは異物だ。 デイヴ・エドモンズの75年リリースの2nd。想像していたものとは違って、思いっ切りウォール・オブ・サウンドのまるで大瀧詠一のようなアルバムです。ほぼ全編カバーで1曲目からフィル・スペクター節爆発。CDプレーヤー壊れたのかと思いました…

プロコル・ハルム『A Salty Dog』

細野晴臣の『泰安洋行』のヒントになったと思しきジャケットが印象的な68年リリースの3rd。タイトル曲は坂本龍一のスコラDrums & Bassでも紹介されていました。ドラムが英国人ならではの音づくり、みたいな話を高橋幸宏がしていたような記憶があります。プロ…

エルヴィス・コステロ『Goodbye Cruel World』

先日の高橋幸宏のEveryday Musicでもかかっていた名曲『I Wanna Be Loved』を収録した84年リリースの作品。本人は一部を除いて気に入っていないアルバムのようですが、いいですよ普通に。 それにしてもその『I Wanna Be Loved』にスクリッティ・ポリッティの…

エスペランサ『Chamber Music Society』

以前、元上司から紹介してもらったラテン系ジャズのベーシスト兼ボーカルの女性による3作目。直近のアルバム発売時に高野寛が「感覚がザッパに似ている」とつぶやいていて余計に気になっていました。3作品くらいをROMに焼いてもらって頂き、通勤時にiPODで楽…

ポール・マッカートニー『Flaming Pie』

97年リリース。『Off The Ground』の次作にあたるんですね。想像通り結構いい。 同月にはレディオヘッドの『OKコンピューター』や電気グルーヴの『A』なんかが発売されている、そんな年です。ビートルズの一連のアンソロジー祭りを経て過去の実績を見直して…

フランク・ザッパ「A Token of His Extreme」

遂に出た!という感じのザッパ74年制作TV番組のDVD。『ダブ・ルーム・スペシャル』で断片が映像化されていた元映像が何故かこのタイミングで正式リリースされました。 メンバーは『ワン・サイズ・フィッツ・オール』の頃の黄金期のもの。ジョージ・デューク…

ソギー・チェリオス『1959』

これはいい!カーネーションの直枝政広とワールド・スタンダードの鈴木惣一郎が組んだユニットのアルバム。想像以上に良かった。 『とんかつの唄』では細野晴臣と鈴木慶一をゲストボーカルに招いていますが、何といっても二人の倍音がよく出たボーカルは抜群…

テイ・トウワ『LUCKY』

「浮世離れ」。 テイ・トウワの新作が出ました。インタビュー記事やラジオ番組で雰囲気は伝わってきていましたが、ほぼ想像通りの内容。テイ・トウワは震災やビートルズ・リマスターを挟んでもほとんどスタンスが変わらない。音圧は大きいし、アッパーなノリ…

高橋幸宏『Life Anew』

焦りが消えた。これが最大の魅力かな。 高橋幸宏の新譜は自らのルーツを初めて見直した、バンド・サウンドの意欲作です。物腰は優しい。ただ、そこに漂うのはやっとここまで行き着いた自信と、時代に目配せして焦っている姿が微塵も見えない地に足のついた音…

高橋幸宏『One Fine Night』disc 5

ラスト。最後は41分であっという間に終わってしまいます。ほとんどアンコール・ディスクのようですね。 それにしても優しい歌声です。全33曲というボリュームを感じさせない、ボサノヴァのしっとりとした終わり方。しかもその後、高橋幸宏は歩き続けている。…

高橋幸宏『One Fine Night』disc 4

CDの2枚目。pupa、ソロ、スケッチ・ショウとエレクトロニカ路線が続きます。スケッチ・ショウまでで終わっていたら綺麗だったんですが、最後にビートニクスまで行ってしまう。収録時間の関係でしょうが、少し構成としては勿体ないかな。 エレクトロニカの一…

高橋幸宏『One Fine Night』disc 3

ここからはCDの音源集となります。それにしてもお腹一杯。もうこの1枚目で終わってもいいくらい、濃厚なライブですね。 まず音だけで聴いた印象は「柔らかい」ということ。音圧も左程ではなく、音自体もまろやかです。ある意味くぐもっているとも言えますが…

高橋幸宏『One Fine Night』disc 2

やっと観終わりました。長い! 後半はビートニクスから始まりますが、鈴木慶一の「black pupa」というのが言い得て妙。ここ最近の高橋幸宏はやはりバンドに拘っているように思います。この理由は意外なところで気付かされました。 ボーナストラックで90年代…

高橋幸宏『One Fine Night』disc 1

生誕60周年を記念して行われたコンサートの映像がリリースされました。全33曲。いっぺんには観れないので、まず今週は1枚目から。 先日WOWOWでも短縮版が放送されましたが、めまぐるしく変わるメンバーやゲストの紹介は一切省いた内容でしたので、こちらの完…

プリンス『Lovesexy』

88年リリースの作品。ほんとにCDは1トラック表示なんだな。 確か随分前にレンタルで借りて、2曲目の『Alphabet ST.』がやたらと気に入った記憶があります。位置づけとしては発売が見送られた『ブラック・アルバム』の後、その前が『サイン・オブ・ザ・タイム…

スティーヴィー・ワンダー『心の詩』

凄いなあ。もう完成してるじゃないか。 72年リリースのこの作品は同年にリリースされた『トーキング・ブック』から怒濤の快進撃を続けるスティーヴィー・ワンダーの序章のようなアルバムだと思っていました。まだ未完成なのかな、と思って大分手を出すのが遅…

高田漣『アンサンブル』

久々に曲ごとの参加メンバーを見るのが楽しみなアルバムでした。 高田漣の新作はここ最近の一連の活動を象徴するゲスト満載の素敵な作品に仕上がっています。声が低いこともあって、感触としては『HOSONO HOUSE』のような雰囲気かと思って聴き進めていました…

カーネーション『Renaissance Minstrels』

ラストは未発表音源集です。カーネーションは一時期コロンビア音源を大量の未発表曲と共に再発した経緯がありますが、初期でもこれだけの楽曲があったとは驚きです。音質は今ひとつのものもありますが、丁寧に掘り起こしていく姿勢には感銘を覚えます。 湾岸…

カーネーション『GONG SHOW』

1stから僅か5ヶ月後にリリースされた88年発表の2nd。このアルバムは1曲目の『ゴング・ショウ』とラストの『夜の煙突』にとどめを刺します。 『夜の煙突』は森高千里もカバーしたカーネーションのナゴムからの1stシングルでもあって、カーネーションの代表曲…

カーネーション『YOUNG WISE MEN』

88年リリースの実質的なファースト・アルバム。冒頭からスネアの音のみのリズムが繰り出されてそのまま突っ走ってしまう『ビーチで写真』。この勢いにはやられました。どうもこれは鈴木博文のアイディアだったようです。その後の『恋は底抜け』。この凝った…

カーネーション+政風会『DUCK BOAT』

このアルバムは『水門』に尽きると思います。 カーネーションの『アーリー・イヤーズ・ボックス』は手にするかどうか迷っていましたが、やはり後で後悔するのも何なので入手してしまいました。初期のカーネーションはメトロトロンのイメージが強くて、「とう…

ムーンライダーズ『火の玉ボーイコンサート 2011.5.5 MOVIE』

行こうと思っていて行けなかったムーンライダーズの『火の玉ボーイ』再現コンサートがDVD化されました。CDで音源だけは発売されていましたが、しばらく前にこの映像の上映会が開催されていたので「これは来るかな」と思っていたら予想通りの発売。目出たいこ…

細野晴臣『Heavenly Music』

細野晴臣の新作は全編がカバー曲。まるで初期ビートルズかジョン・レノンの『ロックン・ロール』のように他人の楽曲を自分のものにしています。音の触感は『Flying Saucer 1947』『HoSoNoVa』と続いた路線で深みのあるいい音が鳴っている。安心して聴ける作…

ヴァン・ダイク・パークス『Songs Cycled』

今月はやっぱり細野晴臣とヴァン・ダイク・パークスでしょう。 オリジナル・アルバムとしては何と18年ぶりというインターバル。それだけでも凄いですが、御年70歳にしてこの切れ味は流石の一言です。細野晴臣のトリビュートで『イエロー・マジック・カーニバ…

トッド・ラングレン『TODD RUNDGREN with the METROPOLE ORCHESTRA』

新作はイギリスから出ているデラックス・エディションが2枚組になっていて、2012年に行われたオーケストラとの共演ライブがボーナスディスクでついています。今回は国内盤も出るようですが、このボーナスディスクがついているのは英国盤だけなので、何といっ…

トッド・ラングレン『STATE』

御大の新作が出ました。全曲試聴があったので多少は予想していましたが、ブリブリのエレクトロ路線。ここ最近はハードロック系か打ち込みかのいずれかで活動してきたトッドですが、今回はその打ち込みの方。高橋幸宏のトリビュートにも参加して、そちらでは…

鈴木さえ子『スタジオ・ロマンチスト』

87年リリースの実質ラスト・アルバム。その後、徹底して本格的な活動をしないところは潔くて、まるで山口百恵のようです。 何といってもXTCのアンディ・パートリッジがプロデュースで参加したという事実が大きい。最初にこのニュースを目にした時には「何と…

鈴木さえ子『緑の法則』

待望のリマスター再発。85年リリースの3rdアルバムですが、これはまさに金字塔です。鈴木慶一との共同プロデュースも板についてきて、ここでは絶好調。きちんとした形で再発されて本当に目出たい。 何といっても中盤の『The Green-eyed Monster』『Good Morn…

朝日美穂『ひつじ雲』

6年ぶりのフルアルバム!傑作です! 高橋健太郎の奥さんになっていた朝日美穂の新作は残念なことに本人のウェブサイトからの通販のみ、という恐ろしく限定された売り方で登場しました。こんないい作品がメジャーで流通しないというのは何という悲しいことか…